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Vであるがアルカリマンガン電池は、マンガン電池に比べて容量は大きく、一般的に同じ寸法のマンガン電池に比べて3倍程度であるとされているので、それだけ磯器を長時間使用でき、同じ使用時間ならば小型の電池を使用できる。しかし、価格はそれ以上に割高である。EPIRBやSART用の電池には、リチウム電池が多く使用されている。これは、リチウム電池が次のような特長をもっているからである。
(1) 素電池の端子電圧3V以上のものが普通に製作することができる。
(2) 電池の寸法・質量に対する容量が大きい。
(3) 作動可能の温度範囲が広く、低温でも使用が可能である。
(4) 自己放電が少ないので、保存性が優れている。
(5) 漏液の性能に優れている。
(1)〜(3)によって、リチウム電池は、常温でアルカリマンガン電池の2倍以上、-20℃では数倍の容量をもつことができる。
リチウム電池は、負極作用物質に金属リチウム(Li)を使用した電池の総称で、いくつかの種類がある。EPIRBやSARTに普通使用されているのは、2酸化マンガン・リチウム電池で、正極作用物質に2酸化マンガン(Mn02)、電解液にはリチウムが水と反応しやすいために、有機溶媒電解液、非水無機溶媒電解液または固体電解質が用いられている。大容量にするための、積層のリチウム電池を巻込んだ円筒形の電池の構造を図1.3に示し、これをステンレス鋼の外筒で密封する。2酸化マンガン・リチウム電池の素電池の公称端子電圧は、3Vであって、406MHz衛星EPIRBで使用したときの、その電圧特性は図1.4に示す。リチウムは水に触れると激しく反応して水素を発生するので、機械的および電気的な安全性には十分注意して製作されているが、この電池を扱うに当たっては、十分に注意をして、端子間の短絡、外筒を損傷するような扱い、火中への投入などは絶対に避けることが必要である。
このほかに、コンピュータなどのメモリーの保護などによく使用されるリチウム電池の一つに塩化チオニル・リチウム電池がある。この電池は、正極作用物質兼電解液に塩化チオニル(SOC12)を使用し、電圧が3.6Vと高く、大電流放電が可能な優れた性質を持っているが、塩化テオニル(SOCl2)は、空気中で、有毒ガスである亜硫酸ガスと塩化水素に分解するので、勿論、その安全性には十分な配慮をして製作されてはいるが、特にその取扱いには注意が必要となる。

 

 

 

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